心臓病(心臓カテーテル治療)について
心臓病は、がんに次いで二番目に死亡者の多い病気です。心臓病は、大きく狭心症・心筋梗塞といった虚血性心疾患と、不整脈、弁膜症、心筋症、先天性心疾患などに分類されます。
狭心症は、心臓の冠動脈という血管が、狭くなったり詰まったりすることで、先端の血管の血流が少なくなり、一時的に息苦しい、胸が締め付けられるといった症状が出ます。
心筋梗塞は、さらに症状が悪化し、心臓に酸素を送る冠動脈が詰まり、心臓の筋肉細胞が死んでしまい機能が低下してしまう病気です。
心臓カテーテル治療方法について
狭心症・心筋梗塞の治療には、内科的な治療の「薬物治療」「心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術 PCI)」そして外科的な「バイパス手術」があります。
心臓カテーテル治療は、局所麻酔後に手首や足のつけ根の動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、バルーン(風船)やステント(筒形で網状の金属)、ロータブレーター(高速回転するオリーブ型のドリル)などを使って、狭くなったり詰まったりしている冠動脈を広げる治療法です。
心臓カテーテルのメリットとして、胸にメスを入れることなく血管の中から行える内科的治療であるため、手術に比べて患者の負担が少なくなります。従って心臓カテーテル治療が可能な場合は、バイパス手術より優先的な治療方法となります。現在、心臓カテーテル治療の代表的な治療方法として、ステント留置術が行われています。
また心臓カテーテル治療では再狭窄(さいきょうさく)が起こる可能性が15〜30%あるのが弱点でしたが、薬剤溶出ステント(DES)の出現で、再狭窄が激減しています。DESは徐々に薬剤が血管に溶け出して再狭窄を防ぐ働きがあります。このステントを用いた治療では、治療後6ヶ月以内の再狭窄率が5%程度に抑えられています。
それでも、細いカテーテルを血管の中に挿入して行う治療であるだけに、動脈を傷つけずに病変へ到達して治療を行うテクニックが必要です。頻度は低いものの、動脈を傷つける合併症や血管が裂けて患者が死亡するケースも報告されています。また、ここ十数年前から始まった治療方法であり、長期的な成績については不明なことも事実です。